繁殖について思うこと。
今日は、ちょっと真面目な話です。
1月24日放送 “天才!志村どうぶつ園”の1コーナー、『動物と話せる女性ハイジ』 をご覧になった方、大勢いらっしゃると思います。
重度の障害を持つダックスフントの三郎君、飼い主ご家族は愛情を持って精一杯お世話されているようでした。 それは本当に頭の下がる事。
でもね、でもね・・・、
志村園長を始め、出演者の皆さんが感動の涙を流しているのを見ながら、私は、考え込んでしまいました。
あくまで推測です。 推測ですが、
「生後4ヶ月で重い脳の病気を患い、寝たきりの状態」
これって、先天性の疾患・・・ですよね?
こういう仔を見ると、いつも考えてしまいます。
母犬・父犬は、繁殖に向いていたのかな?
以前、このブログでもご紹介した、『愛され祝福される犬への道 』というお話の中に、交配前に飼い主が行うべき血統上のチェック項目が載っています。
(以下、抜粋(青字)は一部編集してあります)。
5代前までの親戚関係の「疾患発症」や、「寿命」の話を調査する
その中で、必ず確認したいのは、
1: 直系の中に「てんかん 」発作の出た犬はいるかどうか。
2: 「胃捻転」で亡くなった(もしくは一命を取り留めた)犬はいるかどうか、
3: 「突然死(もしくは早死)」をした犬はいるかどうか。
4: 両親犬のOFA(もしくはペンヒップ)の結果はどうだったのか。
5: 眼疾患の証明はどうか。
6: 甲状腺 機能証明は取ったかどうか。そして、
7: アレルギー の出ている子はいるかどうか。
これ↑が俗に言う、『血統をチェックする』 と言う意味。
中には、「血統のチェック=血統書」と勘違いしている人も少なくないようです。
特にダックスの場合は、掛け合わせのカラーも重要なので、「血統のチェック=血統書」と勘違いする人が多いんだと思いますが、血統書を見ただけでは血統のチェックをした事になりません。
掛け合わせのカラーを考える(相手を探す)のは、もっと後の段階。
全ては自分の愛犬が「繁殖させて良い犬なのかどうか」を見極めてからです。
~ 以下同抜粋 (一部編集) ~
自分の愛犬を繁殖するなら、一番重要なのは、その愛犬の健康を損ねないことだと思う。
だって、仔犬を見たいのはあくまでも人間側の欲望なんだし、それに使う愛犬が、そのことで死んだり、不具になったりしたら、悔やんでも悔やみきれないでしょ?
それを調べるには、まず、親兄弟、血縁関係で若死にした犬がいないかどうかを確認すること。妊娠なんかさせたばっかりに、突然死でもされたら大変。
それと、生殖器や乳腺の病気にかかった犬が血縁関係にいるかどうかをチェック。いるということは、高い確率で将来かかる可能性があるわけで、だったら、早い時期に不妊手術しておけば、健康で長生きできる。
さて、続きである。
今度は、生まれてくる子犬の健康にも配慮しよう。
どうせ、産ませるなら、健康な方が良いに決まってる。
まず、確実に遺伝と言われている疾患がいくつかある。
たとえば、骨関節関係や眼疾患、そして免疫疾患である。
関節関係の疾患可能性を知るのは簡単である。便利なOFAやペンヒップという機関があるからだ。また、眼疾患もCERFなどで証明が出るようになったのだ。つまり素人でも、遺伝疾患に対して、プロ並の証明が取れるようになったというわけである。
~ 抜粋ここまで ~
母犬・父犬が元気そうに見えても、調査・検査無しには繁殖に向くかどうかは解りません。
遺伝疾患は、たとえ表に現れなくても遺伝子レベルで脈々と受け継がれる、 だから恐ろしい。
元気に見えても、三郎君の兄弟姉妹達も遺伝疾患の因子を持っている可能性が高いと思われます。
短い生涯を終えた三郎君のご冥福を心から祈ると同時に、三郎君の飼い主さまには、母犬を含む兄弟姉妹全てを今後絶対繁殖に使わないよう避妊・去勢を施して欲しいと願わずにはいられません。
また、三郎君の母犬・父犬を世に送り出した犬舎の方々には、しかるべき調査・検査を徹底して欲しいと切に願います。
以下は、「愛され祝福される犬への道」の中で紹介されている、シリアスブリーダーからのアドバイスです。
繁殖 を考えておられるそうですね。 私の意見は、まず、立ち止まり、深呼吸をして考えなさい、です。
考えてみることは以下のことです。
* なぜ繁殖 をしなくてはならないのか。
* 自分の欲求に応える方法に、他の方法 はないのか。
* 自分の犬は、繁殖 をすべき犬なのか。
* 繁殖 によってもたらされる可能性のある利点は何か
* 繁殖 によってもたらされる可能性のある欠点は何か
* 可能性のある欠点に対し、できることは何か。
* またそれを行動に移せるかどうか。
* あなたは、目の前の犬に対し、何を求めているのか。
前述に対しての「考え」は表面的なものであってはいけません。
落ち着いて深く考えなさい。 考えすぎて困ることはありません。
自分が納得するまで考えることです。その考える時間や考え行動する努力が、あなたの愛犬を守るのです。
上記の命題に関して、私は繁殖 に踏み切るたびに深く考えます。そしてその度に答えを出します。繁殖 しない場合も少なくありません。
知性のある人であればあるほど、考えは深くなり複雑になります。そして、その分、犬への愛情が深くなるのです。
その壁を越えて生まれてくる子犬たちは、祝福された仔犬たちです。その壁を越えて繁殖 をしない結論に至った犬も、深く愛され祝福された犬たちです。
話は変わって、BS朝日で放送されている「愛のワンニャン大作戦」という番組、見たことある方いらっしゃいますでしょうか?
今年に入ってから、番組の目玉であったハズの「ペットのお見合いコーナー」に代り、「ワンニャン相談室」というペット好き芸能人のお悩み相談コーナーが始まりました。
噂によると、お見合いコーナーに対する各方面からの抗議の数は、番組開始当初より減りこそすれ無くなる事はなく、ついに局側が中止の決断を下した・・・、らしい? (BS朝日は公式には何のコメントも出していません)
何はともあれ、各地域の行政が処分される犬・猫を一頭でも減らそうと 『避妊・去勢を!』 と必死で呼びかけている昨今、素人繁殖を促すような番組コーナーが中止になったのであれば、それは非常に喜ばしい事であると同時に、BS朝日が下した判断に敬意を払いたいと思います。
3 ■無題
2 ■同感です。
そして看病が大変だっただろうと推測できるので、ご家族の皆様に対しても、心身の疲労はいかばかりかと察しています。
自家繁殖の怖さを見たと思いました。
我が家は今そうして生まれた未熟児の育児をしています。壮絶です。放棄犬です。たぶんそのままだったら死んでいたと思います。
ペットショップで生体販売が行われ、業者の管理が行き届いていない限り、やはり一般家庭での犬の出産は反対です。
障害を持った犬や奇形の犬は早々に処分されたり、放棄されるので、普段の生活で見ることはないと思います。だから余計に「出産で奇形や先天性疾患が生まれる可能性がある」ということが非現実的なのだと思います。
奇形や障害を公表する人は少ない現状がこうした不幸を呼んでいる・・・。私はそう思います。
追伸:我が家の保護犬で障害のあったダックスのミントちゃんは、我が家の子になりました♪応援ありがとうございました。
1 ■無題
志村動物園、私も見ました。
三郎君可哀想で泣きそうになったけど、
自家繁殖というとこ、父犬が紹介されなかった事
凄く気になりました。。
あの家族の事は何も知らないから
悪くは言えないけれど、
ちゃんと勉強したんだろうか!?
なんて考えていたら涙なんて1滴も
出てきませんでした…。
自分の家の犬が一番可愛い、
この子の子どもが欲しいって
誰もが1度は考えると思うんですが、
是非現実を知って!!と常々考えています。
劣性同士、ダブルダップル、パピーミル
恐ろしいですね。
長々と失礼しました。。
実は私も、最初に飼った仔(マルちゃん)の子供が欲しいと思ったこと、あります。 その時は、マルパパが止めてくれたので思い留まる事が出来、今、こうして遺伝・繁殖の事を勉強すればするほど、あの時、無知のまま繁殖に踏み切らないで正解だったと確信は深まるばかりです。
正しい知識の伴わない繁殖がいかに恐ろしい事か、知ってる者はその責任において声を上げていかなくてはいけないと思っています!
デンママさん♪
ブログ拝見しました! ミントちゃん、本当に良かったです♪ おめでとうございます!
あの番組には、せっかく三郎君を取上げたのだから、知識の伴わない繁殖がどんなに恐ろしい事なのか、乱繁殖の犠牲になっている犬・猫達の末路がいかに悲惨か、そこまで放送して貰いたかったです。
ペットショップやネットオークションで購入する犬・猫の殆どは、5代前まで遡って血統をチェックする事は不可能ですし、そこまで徹底して検査をしていない「自称ブリーダー」の商売がまかり通っている日本では、自家繁殖は絶対辞めてもらいたいですよね。